番号ポータビリティLNPとは?仕組みや流れを解説!

番号ポータビリティ「LNP」を使えば、電話番号を変えることなく通信キャリアを変更できます。番号を維持した状態でオフィスの移動やキャリアを切り替える際に非常に有効なサービスです。

しかし、「LNPってどうゆう仕組みなの?」「LNPを活用する流れが知りたい」と考えている人も多いでしょう。

そこで本記事では、番号ポータビリティLNPの概要や仕組み・特徴について解説します。LNPの導入費用や活用する流れを解説するため、気になる人はぜひチェックしてください。

目次

番号ポータビリティLNPとは?

LNPとは、2001年から解禁されたサービスで、Local Number Portabilityの略です。LNPを活用すれば通信キャリアやサービスを変更しても同じ電話番号を引き継げます。

一般的にキャリアを変更する場合、電話番号も紐づいているためこれまでの番号は使えなくなります。企業の電話番号は名刺や会社のHP・登記情報など様々な部分に登録しているため、変更に大きな手間がかかります。企業の登録情報の返納にも時間がかかり、関係部署と連携も必要です。

しかし、LNPを活用すれば電話番号をそのままに新たなオフィスの移動などを実現できます。電話番号を引き継いだ状態で、最適な通信キャリアやサービスへ変更できるのは、LNPの大きなメリットと言えるでしょう。

LNPとMNPの違い

LNPに似たサービスとして「MNP」が存在します。MNPとは、Mobile Number Portabilityの略で、携帯電話番号向けの番号ポータビリティです。MNPはiPhoneやAndroidなど、端末のOSに関係なく活用でき、電話番号をそのままで別のキャリアへ乗り換え可能です。

乗り換え元の携帯電話会社からMNP予約番号を取得し、書類申請を済ませれば乗り換えは完了します。MNPは端末の種類・使用キャリアに関わらず活用できますが、LNPは一定の条件を満たさなければ変更申請ができません。

基本的にLNPでは、NTT東日本・西日本が提供している一般加入電話もしくはISDN電話で得た電話番号しかLNPに変更ができないため注意しましょう。

LNPの仕組み

LNPは、固定電話の番号を変えることなく別のキャリアへ移行するサービスで、一方向のみのポータビリティ制度となります。つまり、NTT東日本・西日本が提供する電話番号に対して提供するサービスとなるため、NTTから別会社へ移行した番号を戻すことも可能です。ただし、NTT以外で電話番号を取得した場合、別キャリア同士でのLNPは活用できません。

さらに、LNPを活用する際は番号引き継ぎの条件が細かく設定されています。電話番号の取得方法やキャリアへ移行した後など、状態によって対応方法に違いが存在します。

一方、MNPは各社間で番号ポータビリティが実現しており、双方向でサポートが提供されています。LNPとMNPはベースのサービス自体は同じであるものの、設定されているルールは異なります。総務省が発表したデータによると、LNPも2025年1月頃を目安に双方向のポータビリティ制度導入を掲げています。

2016年7月28日 番号ポータビリティの扱いについて

引用:総務省HP https://www.soumu.go.jp/main_content/000433169.pdf

番号ポータビリティLNPの費用

LNPの申請にかかる費用は、活用するキャリアによって異なります。一律のコストが設定されているわけではないため、別途確認が必要です。

例えば、LNPをNTT経由で実施する場合、一度電話回線の休止と移行に関する費用が必要です。

回線休止費用は一番号あたり2,000円前後、同番号の移行工事費用は一番号あたり2,200円程度です。合計で4,000円〜5,000円の費用が発生します。

ただし、具体的な金額設定はキャリアによって異なるため、申請を実施する前に問い合わせましょう。

番号ポータビリティLNPのメリット

LNPのメリットは、以下のとおりです。

  • 顧客や登録サービスへ電話番号を伝える手間を省ける
  • 公式サイトや名刺などの登録情報を修正しなくて済む
  • 電話番号を気にせずにオフィス移転が可能

それぞれ順に解説します。

顧客や登録サービスへ電話番号を伝える手間を省ける

LNPはキャリア変更による電話番号の更新がないため、顧客や登録サービスへ電話番号変更を伝える手間が省けます。

電話番号を変更する場合、取引先や企業として登録しているサービスへ変更依頼が必要です。あらかじめ企業として登録しているサービスを洗い出し、それぞれに申請を実施する必要があります。

さらに、取引先へ電話番号を変更する旨を伝えなければならないため、それだけでも手間がかかる作業と言えるでしょう。

LNPを活用すれば、前述した申請は一切必要ありません。登録サービスによっては電話番号の変更にコストがかかるケースもあるため、LNPを活用することで費用削減にも繋がるでしょう。

公式サイトや名刺などの登録情報を修正しなくて済む

LNPを活用することで、社外だけではなく社内情報の変更・修正をする必要がなくなります。

一般的に企業の電話番号を変更した場合、公式サイトや社員の名刺の情報を更新しなくてはなりません。

公式サイトの運用を社外に委託している場合、情報更新にコストがかかります。社内の名刺に関しても、表記内容を修正して社員分の更新が必要になるため、再度発行が必要です。LNPを活用することで電話番号の変更申請だけではなく、登録情報の修正も省けるのは大きなメリットと言えます。

電話番号を気にせずにオフィス移転が可能

LNPの活用により電話番号の変更が不要な場合、番号変更にかかる手続きや面倒事を気にせずオフィス移転が可能です。

基本的にオフィス移転時は、電話番号の更新が求められます。一方、LNPに対応しているならオフィス移転に伴う電話番号は不要で、これまでと同じく使い続けられます。

オフィス移転によって電話番号を変更する場合、前述した顧客や登録サービスへの変更申請や取引先への周知が必要になります。LNPを活用できればこれらの申請は一切不要で、オフィス移転をスムーズに進められるでしょう。

しかし、下記のような場合は、オフィス移転によってLNPを活用できません。

  • 市外局番が異なるエリアに移動する場合
  • ISDN回線を活用している場合

それぞれ解説します。

市外局番が異なるエリアに移動する場合

固定電話は所在地によって番号が市外局番が異なることから、別エリアにオフィスを移動するとLNPの対象外となります。

例えば、大阪府から東京都へ拠点を移転する場合、市外局番が06から03に変わる関係上、同じ番号を使い続けることはできません。

同じ市外局番のエリアへオフィス移動を行う場合は、LNPが適用されるため同じ番号を使い続けられます。オフィスを移転する際は、エリアによってLNPが適用されないことを把握しておきましょう。

ISDN回線を活用している場合

ISDN回線を使用している場合、オフィス移転によってLNPを活用することはできません。

ISDN回線とは、Integrated Services Digital Networkの略で、1つの回線で2つ以上の電話回線を使用できるサービスです。音声データをデジタル化するため、従来のアナログ回線と比べて音質向上や盗聴が難しいなどの特徴があります。

本来、ISDN回線はLNPを活用できますが、オフィス移転によって対象基地局外となる場合は適用されません。オフィス移転を行う際には、移動先がLNP対応のエリアか確認しておくと良いでしょう。

また、ISDN回線は2024年1月にサービスが終了します。ISDN回線を使用している場合は、オフィス移動のタイミング以前に変更が必要です。

番号ポータビリティLNPの活用条件

LNPの活用条件は、電話番号の取得方法によって異なります。代表的なLNPの活用条件は、以下のとおりです。

  • NTT加入電話から電話番号を取得したケース
  • 光電話経由で電話番号を取得したケース
  • LNPで他キャリアへ番号を移行したケース

それぞれ順に解説します。

NTT加入電話から電話番号を取得したケース

他の通信キャリアではなくNTTの加入電話(アナログ電話)で電話番号の取得を実施したケースだと、特別な申請を行うことなくLNPの活用が可能です。

同じNTT内の加入電話からひかり電話(フレッツ光)への引き継ぎは勿論のこと、NURO光やauひかりなどの独自回線網への引き継ぎもできます。

ただし、取得した電話番号の管轄や収容先が異なる場所へ移転(引っ越し)する場合はLNPを活用できません。特に主要局の管轄が異なる場合は、同じ都道府県内でもLNPの対象外になるケースがあるため注意が必要です。

ひかり電話経由で電話番号を取得したケース

ひかり電話経由で電話番号を取得したケースでも、NTT加入電話経由の申請と同様にLNPを活用できる。ひかり電話とは、NTT東日本/西日本が提供する光ファイバー回線(インターネット回線)を使用した固定IP電話です。

ひかり電話はNTT東西が提供するサービスですが、「光コラボレーション事業者(ドコモ光、ソフトバンク光など)」と呼ばれるNTTの光アクセス回線を卸受けて、自社サービスとして販売している事業者がいます。この事業者が提供する光電話サービスは、中身がNTT東西の「ひかり電話」と同一のため、NTT東西から光コラボレーション事業者への乗り換えを行った際は電話番号を引き継ぐことが可能です。

厳密には、このケースはLNPではなく「転用」という手続きになります。LNPとは異なるため、場合によっては違約金やLNPには無い申請が必要になるため、あらかじめ注意しましょう。

なお、NTT東西の「ひかり電話」で発番した電話番号を、auひかりやNURO光などといったNTTとは異なる独自回線網で提供している「光電話」サービスへLNPすることは現状できません。当然ながら、auひかりなどの「光電話」サービスで発番した電話番号をNTT東西の「ひかり電話」へとLNPすることも不可となります。

ひかり電話発番の場合は、「転用」による引き継ぎは可能なものの、「LNP」はできないことを把握しておきましょう。

LNPで他キャリアへ番号を移行したケース

NTTの加入電話(アナログ電話)から電話番号を取得した後、LNPで他の通信キャリアへ電話番号を移行した場合、通常通りLNPを活用することができます。例えば、NTT加入電話からNURO光へLNPした後、NURO光を解約して別のキャリアへ電話番号を引き継ぎたい場合も移行も可能です。

また、2019年から開始した光コラボレーション事業者間の乗り換え手続き「事業者変更」によって、光コラボAから光コラボBへと「アナログ戻し」せずにLNPができます。この場合も前述の「転用」と同じく厳密にはLNPではありません。

「アナログ戻し」とは、ひかり電話を一度アナログ電話に戻す手続きです。2019年以前は、例えば光コラボAから光コラボBへと乗り換える場合、光コラボAを解約してから光コラボBを新規開通で申し込む必要がありました。電話番号も引き継ぎたい場合は、一度光コラボAの光電話サービスをNTTのアナログ電話(加入電話)に戻して、アナログ電話からLNPという形光コラボBの光電話サービスへと引き継ぐ必要がありました。

「事業者変更」が始まったことで一度アナログ電話へと戻す必要がなくなったため、スムーズにLNPを活用できるでしょう。

番号ポータビリティLNPを行う流れ

LNPを活用する流れは、以下のとおりです。

  • 移行先の事業者へ申し込む
  • 対応可否の通知を確認する
  • 移行する通信業者の切り替え工事を実施する

それぞれ順に解説します。

移行先の事業者へ申し込む

LNPを行う際は、移行を依頼する通信事業者へ申し込み依頼を行います。基本的には移行先の専用入力フォームもしくは、書面にて移行申し込みを進めます。

また、LNPの依頼をする際は、事前に下記項目を準備しておきましょう。

  • 固定電話番号
  • 契約名義(会社名)
  • 設置場所住所
  • 現在の通信業者
  • 契約している通信関連サービス
  • 子番号の有無、オプション品などの契約状況

LNPの申請は現在契約中のキャリアでは申請できないため、必ず移行先とコンタクトを取るようにしましょう。

対応可否の通知を確認する

移行先へLNPの申請が完了した後は、2〜3営業日以内にLNPの対応可否通知が届きます。問題なく手続きできる場合は、移行先のキャリアから次のステップの連絡が届きます。

また、場合によってはLNPに対応していないケースがあります。移動先で市外局番が変わったり、主要局の管轄から外れていたりすると対応不可の通知が届きます。

あらかじめLNPに対応している状況か確認した上で申し込めば、スムーズに申請を進められるでしょう。

移行する通信業者の切り替え工事を実施する

​​無事LNPの申請ができると確認した後は、移行する通信業者の切り替え工事を依頼します。通信事業者と電話などでやり取りを行い、実施可能日を決めます。

通信事業者の申請が混み合うタイミングでは、すぐに工事を開始できないケースもあります。工事に対応できる候補日が複数用意しておきましょう。

また、LNPは通知到着から、工事完了までに最短6営業日かかります。通信事業者によっては10日前後かかることもあるため、移行後のスケジュール感も確認しておくと安心です。

まとめ

以上、番号ポータビリティLNPの概要や仕組み・特徴について解説しました。

LNPは申請に条件があるものの、オフィス移動やキャリア変更など様々なシーンで役に立ちます。特に企業の場合は、電話番号の変更によって取引先や契約サービス・名刺などを行う必要がないため、手間を大幅に削減可能です。

ただし、全ての電話番号がLNPに対応しているわけではありません。電話番号を取得した方法や通信キャリアによって対応が異なります。

特に通信拠点によって制限が異なります。活用中の電話番号はそのままで、オフィス移動などを考えている場合は、ぜひLNPを活用してみてください。

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