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最近、「固定電話が終了する」という記事が散見されますが、固定電話が使えなくなると思い不安になっている方も多いのではないでしょうか?
現在世間で終了すると言われている固定電話は「NTT加入電話」、いわゆる「アナログ電話」が該当します。NTT加入電話とは、NTT東日本/西日本が提供する「アナログ回線(銅回線、メタル回線)」を使用した固定電話サービスです。
1997年には約6,300万契約もあったNTT加入電話ですが、2025年3月時点では約1,100万契約と82%近くも減少しており、契約者が大幅に減っているという現状があります。
このような苦境を迎えているNTT加入電話ですが、実はNTTより2035年をもってサービス終了するという発表がされています。
そこで今回は、固定電話(NTT加入電話)が本当に2035年をもって終了するのか、固定電話業界の実態を交えて詳しく解説します。
冒頭でもご紹介した通り、2025年9月にNTT東日本/西日本より「加入電話(アナログ電話)は2035年に維持困難な状況を迎えるため、代替サービスへの移行を推進することで、段階的に加入電話を終了していく」という発表がありました。
光ブロードバンド・モバイルサービスの普及・拡大を背景に、メタル設備を利用した加入電話については、利用の減少や老朽化した設備の維持限界により、2035年頃までにはサービスレベルの維持が困難な状況を迎えます。 このような変化の中、メタル設備を利用した加入電話について、光回線・モバイル回線を用いたサービスへの移行を段階的に実施することで、引き続きお客さまが安心して固定電話サービスをお使いいただける環境を維持したいと考えています。
引用元:【公式】NTT東日本|今後の固定電話サービスについて|料金|個人のお客さま
この発表の中では、具体的に2035年のいつ頃にNTT加入電話のサービス提供が終了するのかは明言されていませんが、2035年を目途にサービス終了すると判断してよいでしょう。
なお、発表にもある通り、光回線やモバイル回線を用いた固定電話(ひかり電話やホーム電話など)は2035年以降も継続するため、すべての固定電話サービスがなくなるわけではありません。
現在契約している固定電話サービスが「NTT加入電話」の場合は、2035年までに光回線やモバイル回線を用いた固定電話サービスへの乗り換え、または固定電話自体の解約を検討していく必要があります。
2035年を目途に固定電話(NTT加入電話)がなくなる主な理由としては、「収益やニーズに対するサービス維持の限界を迎えた」という点です。
以下の図のように加入電話の契約者は30年前に比べて約80%も減少しており、加入電話による通信回数、通話時間は25年間で約96%も減少しています。
この統計からも分かる通り、今後も加入電話は契約数、通話数を減らしていく可能性が高く、2035年頃の将来収益もニーズも見込めないのは明らかでしょう。
また、NTT加入電話が使用するメタル回線設備(メタル線、局内外のメタル線収容装置など)が摩耗やサビ、その他外的要因によって、2035年を目途に維持限界を迎えます。
サービスを維持するにはこれらの設備を更改する必要がありますが、更改にかかるコストに対して、収益やユニバーサルサービス基金※、ニーズが見合っておらず、更改は現実的ではありません。
また、コストだけではなく、メタル回線設備を扱える技術者自体も不足しているため、維持限界を迎える2035年をもって、サービス提供を終了するという判断に至ったのでしょう。
2035年を目途にサービス提供の終了を予定している固定電話(NTT加入電話)ですが、2025年9月の発表では、2035年に即時廃止というわけではなく、あくまで2035年を目標として段階的に代替サービスへ移行させていくとしています。
本章では、加入電話におけるこれまでの動きを振り返りつつ、今後NTTが予定している動きや移行プランを解説します。
NTT加入電話(アナログ電話)は、実は2024年1月にNTT内の電話網がアナログ回線(PSTN)からIP網(インターネット技術を利用した通信)に切り替わっています。
IP網への切り替えにより、利用者には「固定電話宛の通話料金が一律9.35円に変更になった」という恩恵があり、NTTにとっても光IP電話サービス(ひかり電話)で運用しているIP網に統一できるため、コストを削減できるなどのメリットがあります。
ただし、2024年にIP網に切り替えたのは「NTT電話局内の設備」と「電話局間の通信設備」の部分のみで、「利用者の各戸からNTT電話局までの設備」は従来のメタル回線設備のままです。
そのため、加入電話が抱えるサービス維持限界問題の根本的な原因を解決できてはいませんでした。
2035年のサービス終了を目標に、NTT加入電話(アナログ電話)は段階的に契約者を代替サービスへ移行させていくプロジェクトを予定しています。
具体的には、2026年度以降、以下の図のように老朽化や被災などで設備更改が急務の一部エリアから順次、契約者へ移行の案内を送付を行いつつ、問い合わせや故障などで契約者から接点が発生したタイミングでも移行の勧奨を行っていきます。
また、2025年10月より順次、NTT東日本/西日本にて代替サービスへの移行にかかる費用負担を軽減する施策が開始されます。
代替サービス毎の費用負担軽減施策の詳細に関しては、以下の通りです。
代替サービス | 施策内容 | 施策受付開始日 |
---|---|---|
光回線電話 | 契約手数料:800円⇒無償 工事費:20,000円⇒無償 | 2025年10月1日~ |
ワイヤレス固定電話 | 契約手数料:800円⇒無償 工事費:20,000円⇒無償 | 2025年10月1日~ |
フレッツ光+ひかり電話 | 契約手数料:800円⇒無償 工事費:23,000円⇒無償 月額費用:5,900円※⇒割引 | 未定 |
一部は2025年10月時点でも詳細検討中の状況ですが、初期費用(工事費等)は20,000円以上が無償になるので、この機に負担少なく移行をするのがおすすめです。
ここまで2035年に向けた加入電話の移行の流れについて、ご説明しました。2025年10月より代替サービスへの移行を促す施策が開始していますが、直近の設備維持費用の補填のため、2026年4月から加入電話の月額料金の値上げも決定しています。
具体的な値上げ内容としては、「事務用で一律330円値上げ」、「住宅用で一律220円値上げ」となります。詳細な改定前後の料金表は以下の通りです。
加入電話
全て税込表記
取扱所種類 | 改定前 | 改定後 |
---|---|---|
3級取扱所 | ■事務用 ダイヤル・プッシュ 2,750円 ■住宅用 ダイヤル・プッシュ 1,870円 | ■事務用 ダイヤル・プッシュ 3,080円 ■住宅用 ダイヤル・プッシュ 2,090円 |
2級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 2,585円 / プッシュ 2,640円 ■住宅用 ダイヤル 1,705円 / プッシュ 1,760円 | ■事務用 ダイヤル 2,915円 / プッシュ 2,970円 ■住宅用 ダイヤル 1,925円 / プッシュ 1,980円 |
1級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 2,530円 / プッシュ 2,640円 ■住宅用 ダイヤル 1,595円 / プッシュ 1,760円 | ■事務用 ダイヤル 2,860円 / プッシュ 2,970円 ■住宅用 ダイヤル 1,815円 / プッシュ 1,980円 |
旧2級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 1,595円 / プッシュ 1,815円 ■住宅用 ダイヤル 1,045円 / プッシュ 1,265円 | ■事務用 ダイヤル 1,925円 / プッシュ 2,145円 ■住宅用 ダイヤル 1,265円 / プッシュ 1,485円 |
旧1級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 1,265円 / プッシュ 1,485円 ■住宅用 ダイヤル 825円 / プッシュ 1,045円 | ■事務用 ダイヤル 1,595円 / プッシュ 1,815円 ■住宅用 ダイヤル 1,045円 / プッシュ 1,265円 |
加入電話・ライトプラン
全て税込表記
取扱所種類 | 改定前 | 改定後 |
---|---|---|
3級取扱所 | ■事務用 ダイヤル・プッシュ 3,025円 ■住宅用 ダイヤル・プッシュ 2,145円 | ■事務用 ダイヤル・プッシュ 3,355円 ■住宅用 ダイヤル・プッシュ 2,365円 |
2級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 2,860円 / プッシュ 2,915円 ■住宅用 ダイヤル 1,980円 / プッシュ 2,035円 | ■事務用 ダイヤル 3,190円 / プッシュ 3,245円 ■住宅用 ダイヤル 2,200円 / プッシュ 2,255円 |
1級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 2,805円 / プッシュ 2,915円 ■住宅用 ダイヤル 1,870円 / プッシュ 2,035円 | ■事務用 ダイヤル 3,135円 / プッシュ 3,245円 ■住宅用 ダイヤル 2,090円 / プッシュ 2,255円 |
旧2級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 1,870円 / プッシュ 2,090円 ■住宅用 ダイヤル 1,320円 / プッシュ 1,540円 | ■事務用 ダイヤル 2,200円 / プッシュ 2,420円 ■住宅用 ダイヤル 1,540円 / プッシュ 1,760円 |
旧1級取扱所 | ■事務用 ダイヤル 1,540円 / プッシュ 1,760円 ■住宅用 ダイヤル 1,100円 / プッシュ 1,320円 | ■事務用 ダイヤル 1,870円 / プッシュ 2,090円 ■住宅用 ダイヤル 1,320円 / プッシュ 1,540円 |
NTTは2025年10月以降、NTT加入電話の契約者に対して、2035年までを目標に代わりとなる固定電話サービスへの移行を促す施策を行っていきます。
そこで本章では、加入電話の代わりになる固定電話サービスを以下の5つご紹介します。一部は、前述のNTT移行施策の対象外となりますので、ご留意ください。
各代替サービスについて、以下順に詳しくご紹介します。
光回線電話は、NTT東日本/西日本が2025年10月1日より新規受付を開始した「光ファイバーを利用した固定電話サービス」です。
従来の固定電話(NTT加入電話)の場合は、メタル回線設備を使用していますが、光回線電話の場合は現在普及している「光ファイバー」を使用しています。
提供条件は、従来の加入電話とほとんど同様で詳しい内容は以下の通りです。
初期費用(例)
全て税込表記
費目 | 金額 |
---|---|
契約手数料 | 880円 |
施設設置負担金 | 0円 |
工事費 | 22,000円 |
月額料金
全て税込表記
取扱所種類 | 事務用 | 住宅用 |
---|---|---|
3級取扱所 | 2,750円 | 1,870円 |
2級取扱所 | 2,640円 | 1,760円 |
1級取扱所 | 2,640円 | 1,760円 |
加入電話から光回線電話へ移行した場合、初期費用が無償となります。詳しい適用条件は、NTT東日本/西日本のサービスサイトをご覧ください。
なお、同社より2004年から提供されている「ひかり電話」との違いは、光回線電話は固定電話のみのサービス提供であるのに対して、ひかり電話の場合はフレッツ光と同様のエリアで利用ができ、豊富なオプションサービスのほか、インターネットやテレビ視聴サービスをセット契約で利用できます。
光回線電話は、従来の加入電話とほとんど同様のサービスのため、今の加入電話の使用感や金額を変えたくないという契約者にとっては最適な代替サービスと言えます。
ワイヤレス固定電話は、NTT東日本/西日本が2024年4月1日より提供を開始している「携帯電話キャリアのモバイル電波を利用した固定電話サービス」です。
携帯電話のモバイル電波を利用しているため、宅内にメタル線はもちろんのこと、光回線などのケーブル工事を行うことなく、専用のターミナルアダプターを設置することで利用できます。なお、モバイル電波を利用していますが、03などの固定電話番号を利用することが可能です。
提供条件は、光回線電話と同様で詳しい内容は以下の通りです。
初期費用(例)
全て税込表記
費目 | 金額 |
---|---|
契約手数料 | 880円 |
施設設置負担金 | 0円 |
工事費 | 22,000円 |
月額料金
全て税込表記
取扱所種類 | 事務用 | 住宅用 |
---|---|---|
3級取扱所 | 2,750円 | 1,870円 |
2級取扱所 | 2,640円 | 1,760円 |
1級取扱所 | 2,640円 | 1,760円 |
加入電話からワイヤレス固定電話へ移行した場合、初期費用が無償となります。詳しい適用条件は、NTT東日本/西日本のサービスサイトをご覧ください。
ワイヤレス固定電話は、面倒な回線工事や配線の必要がないため、手軽に加入電話から最新の固定電話サービスへ切り替えたいという方には最適です。
IP網への移行を機に固定電話を解約するかどうかは、個々のニーズに大きく依存しますが、緊急時や特定のサービスに依存している場合は解約を急がない方が良いでしょう。
法人や事業所では、固定電話番号が重要な役割を果たしており、顧客対応や社会的信用、FAX対応など、携帯電話番号では補えない利点があります。
また、ビジネスで個人の携帯番号を使うのは、プライベートと仕事の区別がつかず、社員にとっても望ましくないことがあります。
そのため、解約前に使用状況を確認し、IP網移行後のサービスの利便性やコストを比較することが大切です。
総務省の統計を見ると固定電話番号を使う電話サービス(固定電話+ひかり電話の合計)の加入者は2010年が5750万、2020年が5280万と10%くらいしか減っていません。
固定電話が使われ続けている理由とは何でしょうか?
個人の電話利用は高齢世帯を除き、圧倒的に携帯電話に移行しています。
一方で、法人、個人の事業主といった事務所や店舗においては、固定電話番号は必須アイテムです。固定電話番号サービスには
といった、携帯電話番号では補えない利点が存在するからです。
また、事業において携帯電話番号を使うのはデメリットもあります。ビジネスで個人の携帯番号を使うのは公私の区別が付かず、社員にとってみると余り望ましいことではありません。
このように、ビジネスの観点ではやはり固定電話は必須アイテムになっており、総務省統計で示されるように、固定電話番号サービスの加入者が大きく減っていないことがその証左です。
今回は、固定電話の今後についてご説明しました。携帯電話が普及し、需要が低下しつつある固定電話ですが、IP網に全面的に切り替わるなど、今でもアップデートを続けています。
特に、ビジネスにおける固定電話の必要性は高く、今後も必要なシーンで活用され続けていくでしょう。
固定電話は通話できる場所が限られるというデメリットがあり、使いづらいという印象を持っている方も多いでしょう。
そのような固定電話の弱点にお悩みの場合は、それを克服できる「テレワープ」というサービスをおすすめします。
テレワープはNTT東西などのひかり電話とスマホアプリが連携して、いつでもどこでもスマホでひかり電話(固定電話)が発信・着信できるサービスです。
導入も非常に簡単で、小さな機器の設置とスマホアプリのインストールだけで済みます。また、これまで使っていた電話機はそのままで、スマホを子機のように使うことができるので、外出の多い方にはお勧めです。
固定電話番号をスマホで使いたいと思ったことがある方はこちらをご覧ください。